元メガバンク行員が語る半沢直樹のウソ・ホント(第1話)


皆様

始めまして

メガバンクへ新卒で入行して5年間勤めた後、某戦略コンサル会社へ転職したコンサルバンカーです。

未だに「元メガバンク行員でした」というと「実際、半沢直樹みたいな世界なの・・・?」と半沢直樹のウソ・ホントを聞かれることが結構多いので

ドラマの半沢直樹を参照しながら、”どこがホントでどこが違うのか”ということを皆さんに伝えて行けたらという気持ちでブログを始めました。

本ブログの対象者は、これからメガバンクに就職したいと考えている就活生や転職者、また、半沢直樹が好きな方です。

ドラマを見返しながら読んで頂くと、「ああ、そうなんだ・・・」と理解が深まりますのでオススメします。

まず結論から言うと、半沢直樹の世界は「結構ホント」です。

自分は質問をしてくる方に対して、「半沢直樹がいない半沢直樹の世界が実際のメガバンクでは繰り広げられている」と良く伝えています。

自分も当時、ドラマを見て「良くできているな~」と関心していました。それもそのはず、原作は元メガバンク行員の池井戸潤さんが作られていることもあり、当然のことしれませんが、裏を返せば当時から働き方や考え方が余り変わってないのかな・・・と少し悲しい気持ちにもなったりもしていました。

そんな感傷に浸らしてくれた半沢直樹のウソとホントについて解説していきたいと思います。

【小生の略歴】

某国立大学を卒業

メガバンク入行

・地方支店で法人営業を2.5年間・・・半沢でいうところの大阪西支店編

・営業本部で上場企業担当を3年間・・・半沢でいうところの伊勢島ホテルや帝国航空編

某戦略コンサル会社へ転職

それでは行ってみましょう

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

第一話

1.ウソシーン

①冒頭、半沢の学生時代の面接シーン

父が資金繰りに苦しみ他界した、という重たい内容を志望動機に込めてお話するシーンです。

地元のメインバンクは逃げたが、付き合い程度しか取引が無かった「産業中央銀行」が融資して救ってくれたと。。。

最後は「御行に入って、その恩返しがしたい。」と締めくくります。

そして場面が切り替わり、産業中央銀行入行式のシーン。見事、半沢直樹青年は内定を得たのですね。

ここで、一つの疑問が生じます。

“そもそもこの志望動機で入行できるの・・・?”ということ。

ここが一つ目のウソポイントで、この理由、というか学生半沢くんの置かれた状況では、ほぼ入行することは不可能でしょう。

銀行はお金を取り扱う職業の為、入行する人物とその身内、銀行や取引先との関係を徹底的に調べます。

実際、父親が同じ銀行にいたり、身内と銀行との間に藩財政のあるトラブルがあると入行できません。

半沢の実家と産業中央銀行に融資取引が過去あって、融資を引いた後、父が他界したことなど間違いなく行内のデータで叩けば瞬時に出てきます。

このような半沢のウソ話など瞬足でバレてしまうので、学生半沢くんは産業中央銀行の内定を貰えずこの物語は終わるでしょう。

 

②半沢と渡真利と近藤の3人で飲みに行くシーン

渡真利が同期の人事情報を伝える場面「出向と言えば聞こえは良いけどさ・・・要は片道切符の島流しだよ」

というシーンがありますが、これはウソです。

実際、若手の出向はプラスです。証券のエクイティ(出資)やM&A部門、投資系の子会社など花形の出向は多く存在します。

ただ、悪い出向があるのも事実です。ただし、パワハラ・セクハラなど本当の意味でヤバい人が行く出向なので大抵の人は該当しません。

とはいえ、片道切符が決まっているというワケでは無く、そこで頑張ったらまた銀行に戻って来れます。

ガチの片道切符の出向は52歳になってからの出向です。銀行は役員に駆け上がらない限り52歳が定年です。

ここでめでたく年収半額の旅がスタートします。

行き場所は銀行子会社や取引先企業です。最近は出向受け入れ先が不足していて、人が大量に余っているとか・・・

 

③西大阪スチールの融資事故5億円の責任を半沢に押し付けられるシーン

これはあり得ません。

融資課長が全責任を負うのであれば、副支店長、支店長、更にそれを審査する融資部は不要になります。

融資課長以上の人たちも印鑑をついたり、電子システム上で承認をしているはずです。

おそらく今回の件は、担当(中西)→融資課長(半沢)→副支店長(江島)→支店長(浅野)→融資部(担当)→融資部(チーフ的な人)→融資部(次長)みたいなルートで回っているはずです。

大和田常務は「責任は確り取らせなさい」と言いますが、実際の銀行はそうはできない仕組みになっています。

 

④全体感

メガバンクに融資課というものは存在しません。法人担当とリテール担当のみです。

融資課があるのは地銀・信金です。細かいですが・・・

 

2.ホントシーン

①入行式のシーン

渡真利が慶應大学の同期とのことで半沢と近藤に声をかけていますが、このように慶應が独自で同期の和を築いているのはホントです。

実際には入行式ではなく、入行前に同期でのラインが既に出来ていてなんとなく仲良いです。

関東のイケている層では総合職と一般職(窓口さんとか女性行員中心)が入り混じった200人近くのグループラインを作って、入行前に複数回飲み会を行っており入行時からかなりイケイケです。

イケていなかった小生は研修所の共用スペースでイケてる組が女子行員と勉強会を行っているのを羨ましく見ていました・・・

 

②東田と初面談のシーン

半沢直樹2013】1話のあらすじネタバレと視聴率!「倍返しだ」が初回から登場! | 【dorama9】

流石に名刺を破られたことはないが、目の前でタバコを吹かしまくる社長は良くいました。

そのような社長は大抵、地銀や信金にチヤホヤされて勘違いしています。

 

③小木曽が近藤に詰め寄るシーン

細かいですが、上司が自席に来て話しかけて来た際、立って話を聞かないと叱られるのはホントです。

これはどこの会社でも一緒でしょうか?

 

④半沢と渡真利と近藤の3人で飲みに行くシーン

人事ネタが好きな渡真利を茶化す半沢に対して渡真利が放ったセリフ「銀行は人事が全てだよ」

これはホントです。

「仕事の報酬は仕事」って上司が真剣に述べるくらい、良い部署×良いポストに就くことが銀行において美徳とされています。

その為、人事を決める上司には逆らえないのが銀行の文化です。

行員の連絡先を一覧できる行内電話帳には、銀行内でのキャリアを記載するのが一般的で、そのキャリアを見ながら電話やメールを送る前に「こいつは優秀」「こいつはここで失敗したな」みたいなことを上司が良く言っています。

銀行員は基本的に人事バカです。銀行内でのキャリアが華々しい人ほどその傾向が色濃くあります。

入行2年目くらいの研修で、入行7年目くらいのエース行員の話を聞く座談会コーナーがあるのですが、

「自分は数値目標を達成したことが無いが、今、こうやってみんなの前でお話する立場になっている(≒キャリア的に順調)。やったことと言えば、お客さんに「上司が来るときは自分を必ず1回は褒めて」とお願いしたことかな」

と平然と言っていてドン引きしたことを今でも覚えています。普段頑張っているからこそ通るお願いかもしれないが、入行間もない人に堂々と伝える言葉ではないだろう。

ただ、私が銀行を離れる数年前くらいからこの「人事が全て」主義が崩れてきていて、最近の若手層に”出世したくない層”が現れました。

次長・課長など中間管理職の働き方を見て、アレにはなりたくないと真面目に主張する層です。

この層の出現により、今の人事至上主義も徐々に変化していくのかもしれません。

 

⑤全体感

半沢と角田さんみたいに、自分の部下が年上になるというのはメガバンあるあるです。

そしてそのような年上部下に、角田さんのようなやる気があって課長の為に働ける人はあまりいません。残念ながら・・・

基本は出世を諦め、働いているのか何しているのかよく分からない人が多いです。

 

3.その他(個人的に印象に残った場面)

マキノ精機のシーン

Image

ここは半沢の素晴らしさが凝縮されていますね。

良くお客さまの為に勉強されている。「お客さまの技術を見抜き、それをどう守り・広げていくか」それを普段から良く考えている銀行員だから取れる行動。

お客さまの工場見学に行く機会は沢山ありますが大抵の行員は、本当にただの工場見学で終わってしまいます。

一緒に行く上司は毎度「パトロールの一環だからな」と言い、見学を正当化させていました。自分も当初は「そんなもんなのか」とスルーしていましたが、

そんなことないです。働いている人の様子、タイムスケジュール、在庫の数、機械の配置、清潔感など事前に勉強して仮説を立てていれば、得られる情報は山のようにあります。

全行員がこの半沢のような行動を取れるようになれば、日本の産業ももっと活性化していくことでしょう。

 

 


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です